髪の毛をタオルでごしごしと拭く。
そして、それを肩にかけるとあたしは鞄の底に残ったチョコを取り出した。
でも…二人なら渡すチャンスあるかも。
どうせなら、今のうちに部屋に置いてきてしまおうか。
そう思って部屋を出ようとした時。
……ガチャ
玄関のドアが開いた音があたしの耳に届いてきた。
それと同時に硬直するあたしの体。
嘘……帰ってきた?
とりあえず光輝はリビングに向かったらしい。
その時間を無駄にしないためにも、あたしは再び鞄にチョコを戻した。
そして、規則正しい階段を上る音が聞こえてくる。
待ってました、という雰囲気を作りたくなくてあたしは咄嗟に肩にかけていたタオルで髪を拭き始めた。
ガチャ……
あたしの部屋のドアが開かれる。
そっと目を向けるとそこには予想通り、光輝が立っていた。
………来た。
また…何か嫌な予感がする。
ぐっと奥歯を噛み締めていると、光輝があたしにゆっくりと近づいてきて…
「……!」
そのまま前に立ちはだかると、あたしの顎を指で持ち上げてきた。

