帰った瞬間にお母さんに呼び止められる。
なんか…嫌な予感……。
「お醤油、切らしちゃったから買ってきて」
「えーそんなぁ…」
「買ってこないと、夕飯できないわよ」
ほんっとに強引なんだから…っ
今はそんな気分じゃないのに!
「じゃっ、頼んだわよ」
「……はーい」
そのまま千円札を受け取って、制服のまま家を出る。
スーパーは家の前の坂道を下って、道路を渡ってすぐのところ。
あたしは急いで買い物を済ませると、スーパーを出た。
そして道路の信号を待っている時だった。
スーパーの隣にある小さな公園に、不意に視線を向ける。
「………あ」
そこにいた人も、あたしに気付いたみたいだ。
視線が絡む。
「君…今朝の……」
そう。
そこにいたのは…
今朝あたしとぶつかった、あのイケメンの男の子だった。
手招きをされて、あたしは公園に近付く。
至近距離で見つめると、やっぱりその顔は整っていた。