「送ってくれて、ありがとう。
じゃあ、また」
「あぁ」
神山先輩が優しく微笑む。
いつも通りの笑顔。
「またな」
そのまま手を振って、神山先輩は帰っていった。
「………」
その背中を見送りつつも、やっぱり考えてしまう。
あたし…
遠慮しすぎなのかな…?
先輩だからって、躊躇ってる?
でも………――
告白してきたのは先輩からだった。
それで断るに断れず、なんとなくオッケーして。
付き合うことにはなったけど…
―――本当に先輩のこと好き?
って聞かれたら、はっきりと頷ける自信はない。
「ただいま~」
「あっ、雫!
グッドタイミングで帰ってきたわね」