愛子から視線を逸らして、その不安要素に目を向ける。
それを追うように愛子もそっちを見たのを確認してから、あたしは口を開いた。
「あんなにいたら…渡せないよ」
「あー……確かに」
呆れたように笑った愛子。
無理もないことだ。
だって、数メートル先にいる彼…光輝の周りには沢山の女の子が群がっていたのだから。
それはとてもじゃないけど近づけるような雰囲気ではなかった。
お礼はしっかりと言いたい。
そんな気持ちはちゃんと持ってる。
でも…あの周りの女の子と同類になれ、って言われると……
さすがにあたしのプライドが許せない。
だからといってチョコは渡さない?
そんなの嫌だ。
だって、せっかく睡眠時間を削ってヒヤヒヤしながら作ったんだもん。
味の保証はできないけど…そして光輝が食べてくれるかは分からないけど。
せめて渡すところまではいきたい。

