あたしにはあげる相手がいないのだ。
だから別にもう関係ない行事だし、できれば神山先輩のことを思い出したくない。
あたしが顔を曇らせていたのに気づいたのだろう。
愛子がくすっと笑ってあたしの顔を覗き込んでくる。
「確かにさ?
神山先輩にあげなくてよくなったのは
分からなくもないけどさ…」
「……う」
「あんたにはあげなきゃいけない男子がいるでしょ!」
「……はあ」
ビシッと指までさされちゃったから、とりあえず返事はしてみた。
だけど……
「んー……」
「……」
「………誰?」
「もうっ!!」
まったく思い付かないのだ。
あたし……誰にあげなきゃいけないんだろう?
忘れるくらいならあげなくてもいいような人だと思うんだけど……。
って、それより愛子の方が知ってるってどうなのよ?
複雑な思いに駆られたけれど、愛子にとってそんなことは論点にすらならないらしい。
それよりも、あたしは愛子の口から飛び出した名前に思わず声を上げてしまった。

