うっ……なんか嫌な予感。
愛子の目力に圧倒されないように踏みとどまったはいいものの、
「今日は何月何日でしょーか?」
「……は」
愛子の口から飛び出したどうでもいい質問に、あたしは肩の力が抜けるのが分かった。
どうしてこんな些細な質問……
ま、いいんだけどさ。
「2月11日でしょ?」
「そうでーす」
満足気に笑う愛子を他所に、あたしは教科書の該当箇所を探し始める。
そしてあたしのことを観察している愛子に目もくれず、さらりと言った。
「……だから?」
「雫ったらなーんにも分かってないのね!」
「はあ?」
この子はあたしにどんな答えを求めてるのかしら?
逆に教えて欲しいわ。
肩をぐらぐらと揺すられ、仕方なく愛子に目を向ける。
すると、また目力の強い瞳で見つめられた。
「バレンタインの3日前じゃない!」
「そ、そうだったね…」
「なんでこの行事を忘れるのよ!」
はあ…と呆れたようにため息をつく愛子にあたしは黙る。
ため息をつきたいのはむしろこっちだ。
バレンタインを忘れていたわけじゃない。
ただ……

