「……んな顔で見んな」
「ぇ……」
「止めらんなくなる。
って言っても今日は二人きりだから
何してもバレないけどな」
……嘘。
もしかしてあたし…大人の階段を上っちゃうの!!
ああ、お母さんお父さんごめんなさい。
松原雫、とうとう大人になるみたいです……。
………いやっ!!
さすがにそれは無理だぁああっ!!
閉じていた目をかっと開く。
そして光輝に反論しようと試みた……が。
「っ!」
あたしの視界に飛び込んできた光輝の綺麗な顔に圧倒される。
それがゆっくりと近づいてきているのを見て、金縛りにあったように動けないのだ。
いや、ちょっと待っ…―――
ぐうぅぅ……
部屋に響いた普通ならあり得ない音に、二人の動きが止まる。
光輝がビックリしたように目を見開いてあたしを見つめるのが分かったけれど、あたしには見つめ返す余裕なんてなくてうつ伏せになった。
ああ…穴があったら入りたいとはこのことを言うんだ。
そして…もし穴があって入れるなら、さらに誰かに上から砂を掛けて埋めてもらいたい。

