誰かなんて分かってる。
だけどベッドで座ってたらなんか待っているように思われそうで…恥ずかしくて。
あたしは咄嗟に寝たふりをしてしまった。
その直後に、
ガチャ……
部屋のドアが開く音がして。
部屋に入ってくる気配を感じた。
光輝があたしに近づいてくるのが分かる。
そして、髪にそっと指が触れるのを感じた。
「……まだ寝てんの?」
「……」
あくまでも無言を貫き通そうという計画を実行するあたし。
そうです!
あたし寝てるから…早く出ていってくれないかな?
でも、光輝が去ってくれるはずもなくて。
「夜ご飯作ったんだけどな~
しかもお前の分まで」
なんて言ってベッドに腰かけてきた。
ギシッ…というベッドの軋む音が耳に残る。
「夜ご飯、一人とか寂しかったんだけど」
そんなことを言い出す光輝に不覚にもきゅんとするあたし。
え…こんな可愛いキャラだったっけ……じゃなくて!
あたしは光輝が出ていくまで我慢しなきゃなんだから、表情は崩しちゃいけないんだ。
だからあんまりいろんなことを考えないようにしないと。

