「はぁ…はぁ、はっ…はぁ、」


ドアを開けた先には、
今にもその場に倒れそうな勢いの男性が1人。


下を向いてるから顔は見えないけど、

恐らくこの男性は私の彼氏、西田司と
仲の良い森蒼介だ。


私の記憶の蒼介君はいつも
うるさいくらい元気で明るい
ムードメーカー的存在だったはず。



そんな蒼介君がこの世の終わりみたいな顔して
こんなに焦ってるなんて、

どう考えても異常な光景だった。



恐怖が身体を包む。



寒くないのに鳥肌がたって悪い予感がする。



「ど、どうしたんですか?」



咄嗟に肩に触れようとした瞬間、

蒼介君の肩に小さなシミが

いくつも出来てるのに気付いた。



赤い



ーーー血だ



「…え、…血…?」



少し乾燥してるけど、
この色と臭いはどう考えても血だ。



「花ちゃん!!!」



ーーーービクッ



蒼介君は血に濡れた手で私の両肩を掴んだ。

いきなりで驚いたし
思いっきり掴まれてるらしくて、

両肩が痛い。


ようやく見えた顔は
涙目で、顔の左半分にも

血がついていた。



血の臭いが、きつい。



「お願いだから、…落ち着いて、はぁ、……聞いてね」



心臓がドクドクうるさい。



なんで、なんでそんなに

泣きそうな顔してるの。


今日は司と遊んでたんじゃなかったの?


ああ、なんで…



「つかさが…!死んじゃった………!!!」



悪い予感って、当たっちゃうんだろう。