「あ、そうだ、塩崎」

俺は立ち止まって、振り向いた。

「気が変わったわ。
俺と立花が付き合ってるか付き合ってないか。
本人に聞かなくても、判断できるシーンが見れるかも知れないぞ?
どう、見てみる?」

「え……?」

俺は塩崎にそう、提案した。
塩崎は目を見開いて、それから深く頷いた。
その表情には、真実を知れるかも、という期待と、もし付き合っていたら、という不安が、混ざり合って滲み出ているようだった。

「じゃ、体育終わったら着いて来て」

「わかった」

塩崎の返事を聞いた後、俺は急いで自分のクラスの列に並んだ。
厳しい佐藤先生が号令をかけるぎりぎりだった。