意地悪くんと鈍感ちゃんの初恋物語

「い、いやあの……。
すぐ済むから、ちょっと待って。
あ、あのよ、瀬田。
一つ、聞きたいことがあって……」

もう良いかな、と歩き始めた俺を、塩崎が呼び止めた。

「なんだ?」

立ち止まって振り向く俺と、言い淀む塩崎。

何を聞きたいのか、本当は分かってる。
分かってるけど、分かってるって言うのも癪なので知らないフリをした。

「立花さんと瀬田ってさ。
つ、付き合ってる……?」

ほらやっぱり。
想像通りのセリフじゃん。

俺は内心ため息をついて、後ろの塩崎を肩越しにちらりと見た。
困っているような、戸惑っているような、そうな表情を浮かべていた。