意地悪くんと鈍感ちゃんの初恋物語

「ねぇ、瀬田……」

「ん?」

ああ、可愛い。
隣の美空は、紙皿の上のとうもろこしを見つめながら、言った。

「あのね、あたしね、今日まで知らなかったの……」

「ん? 何?」

「瀬田があたしを好きで……。
あたしが瀬田を好きって……」

初恋、なの。
今日まで知らなかったけど。

小さな声でそう呟いた彼女に、俺は驚きすぎて、まだ色々乗ってる紙皿を落とした。
こいつは自分の恋心にも気づかない鈍感だったのか、と、改めて認識した。
そう言えば、俺も今日テンパってたけど、きっとこいつ、もっとテンパってたな。
それにしても鈍感だ……。