「あ、待ってたよ!」

体育館の裏口で、キョロキョロする実行委員の先輩の姿が見えた。
美空がごねたので、ちょっと遅くなった。
きっと今か今かと待っていたのだろう。
彼はとても焦っていた。

「ほら、こっから舞台袖に上がって!」

勢いよく背中を押された。
手を繋いでるんだから、突然バランス崩したら危ないだろっ。
美空が転びかねないじゃないか。

文句を言おうと振り向いた時には、その先輩はもういなかった。