意地悪くんと鈍感ちゃんの初恋物語

「瀬田もお昼パンだから、いつも買い出し分担してるんだよ?」

いやだから、俺はお前に合わせてるだけで、別に好んでパンってわけじゃ……。
はぁ、もういいや、この鈍感娘。

俺は黙々と焼きそばパンを頬張ることにした。

「今日はね、あたしがドリンク係だったの」

ね? と可愛く顔を向けられれば、返事をしないわけにもいかない。

「で、俺がパン係」

短く返事をして、コーヒーで喉を潤す。

「何その役割分担」

鈴木は面白そうに笑っている。

昼は購買も自販機も混むから、俺と立花は毎日ドリンクとパンと、二手に分かれて買いに行く。

お互いリクエストすることもあるけど、任せる時もある。
任せても無難な物を選べるだけ、嫌いな物を避けるだけの情報を、お互いに共有してきた。
それが嬉しかったりする。