私の恋は、期限つき

「そ、それは…私は、大我さんのお父さまから婚約の許しを得ている、正式な婚約者なんです。
ですから、貴女と大我さんとの結婚は、あり得ないんです。
大我さんは、私と結婚するんです。」

やっぱりか~
予測できていたといえど、大我さんのお父さまは、なかなかに手強い。

目の前の女性、三条さんも政略結婚なんだろうけど、ここまでできるなんて、大我さんのことが、少なからず好きなのかな?

「ご用件は、以上ですか?」

あくまでも冷静に言った。

「な…私の申してることが、わからないのですか?」

「…」
感情的になってる人を相手に何か言っても、そううまくいくはずがない。
しかも、この人の独断で行っている可能性のが、高いのだ。

言葉に迷っていたら、痺れを切らしたのか、三条さんがさらに言ってきた。


「とにかく、二度と大我さんにお会いしないでください。」

「その約束は、できかねます。」

「なぜですか?お金がほしいなら、差し上げましてよ。」

「お金なんていりませんよ。だいたい大我さんがそんな解決方法を好むと思えませんしね。正式な婚約者だと仰るなら、こんなことしなくても問題ないんじゃありませんか?大我さんがそんないい加減な気持ちで結婚すると思えませんよ。それとも、自信ありませんか?」

三条さんに挑戦するかのように言ってしまった。
もっと、冷静に対応するつもりだったのに…
感情って、なんて厄介なものなんだろうと、しみじみ思ってしまう。