ここはマンション・エスニック。
個性的な47都道府県の人々が住むマンション―。
「…らしいけど本当にここなのかな?」
俺は疑う。そこはマンションと呼べないほど、小さな建物だとかボロい建物だとかそういう訳じゃない。寧ろ逆だ。大きすぎるのだ。今俺が見えているだけで、三階建てのマンションが二つある。しかもその二つのマンションに挟まれるかのように、五階建てのビルがある。
「どっから何処までかマンションだよ…」
もはや規模が大きすぎてマンションと呼べない建物の固まりを俺は茫然と見ていた。
あ、自己紹介が遅れました。俺は東京。
そう、新しく世界一高い塔が建てられたあの東京です。
地方出身者が憧れに憧れるあの東京です。
最後に日本の首都である東京です。
ある日俺の家に封筒に包まれた手紙が届きました。内容はこうでした。
『平凡な日常につまらなさすら感じている貴方!気分替えにマンション・エスニックに引越ししませんか?場所は○○駅の、△△行きのバスに乗り、××という所に降りて、徒歩5分です。ご入居、お待ちしております』
非常に怪しい広告ですが、気分替えもこめて、荷物まとめて引っ越ししてきました。