私はするりと峠くんの腕の中に入り込んでみた。
峠くんの心音は、私のドキドキより激しく聞こえた。
そんな風に見えないのに、ちゃんとときめいてくれてるんだなあ。
何となくホッとして、峠くんの胸に頬をすり付けた。
「峠くんには素直に甘えられるみたい。」
不思議だ。
なぜか、上総んや加倉や他の男性よりも、峠くんはすんなりと私の中に浸透してくる。
「餌(え)付けしてるからかも。」
ボソッと峠くんがそう言った。
「そっか。そうかもね。峠くんのお料理に生きる力をもらったんだもんね。」
「俺も、こんなに話せるの、まなさんだけ。」
峠くんはそう言うと、やっと私の背中に手を回した。
……もっと強く抱きしめてほしい。
そんな気恥しいことまで、峠くんには言えてしまえそう。
私もまた、そっと峠くんの背中を抱きしめた。
その夜、峠くんと一緒に寝た。
狭いベッドで、くっついて。
峠くんは、私に手を出してこなかった。
でも、私のほうから唇を押しつけて、舌を絡めた。
困っている峠くんが愛しくて…… もっと困らせたくなった。
「明日から数日逢えないから、抱いて。」
そう懇願すると、峠くんの中の箍(たが)がはずれたらしい。
「……もう……止まりませんからね。」
峠くんはそう言って、やっと私に触れた。
全てが優しかった……。
まなざしも、指先も、唇も。
……こういうのって比較すべきじゃないのかもしれないけれど、たぶん上総んよりも峠くんはじっくりと私の反応を観て加減していた。
結局、まな板の上の鯉は私。
峠くんのいいように料理されてしまった気がした。
久しぶりの性行為だったこともあるのか、気持ちよかったぁ。
最後は正常位で見つめ合いながら同時にイッた……んだけど……問題はその後。
目を閉じて余韻に震えてると、私の顔にポタポタと水滴が落ちてきた。
てっきり峠くんの汗だと思ったのよね。
夏だし。
エアコンつけてても、汗だくになるコトしたわけだし。
でも、目を開けて、びっくりした。
峠くんの両目から豪快に涙が流れ落ちていた。
「え!何で!?」
驚いて、手を伸ばし、峠くんの涙を払った。
その手を捕らわれ、指や手首に何度も口づけされた。
……痛い、とか、ってわけではなさそうだ。
「ごめん……うれしくて……」
それだけ言って、また感極まったらしく、峠くんは新たな涙を流した。
えええええ!
「何も泣かなくても……」
そう言ってから、はたと気づいた。
もしかして……まさか……峠くん……童貞だった?
こんなにかっこよくて、あんなにもてるのに?
がっついてるようにも焦ってるようにも感じなかったけど。
うーん、まさかね。
ドキドキしてると、峠くんは私の額にそっと口付けてから言った。
「ずっと恋い焦がれてやまなかったまなさんを心ゆくまで愛せて、こんな……幸せです。」
なんか、キャラが違うよ、峠くん。
そりゃ中身が優しくて親切でよく気が利くことは知ってたけどさ、どう見ても外観は無頼な雰囲気なのに、これ、男泣きだよ、もう。
「こんな貧弱な体なのに、そんな風に言ってくれて、ありがとう。」
私の謙遜に、峠くんは首を横に振った。
「例え骨が痛くても、あばらが浮き出てても愛しいです。」
「……ごめん。」
別に嫌味を言われてるわけじゃないってわかってるけど、やっぱり負い目を感じた。
峠くんはちょっと笑った。
「謝らないで。ほんとに幸せなんですから。」
また涙が降ってきた。
峠くんの心音は、私のドキドキより激しく聞こえた。
そんな風に見えないのに、ちゃんとときめいてくれてるんだなあ。
何となくホッとして、峠くんの胸に頬をすり付けた。
「峠くんには素直に甘えられるみたい。」
不思議だ。
なぜか、上総んや加倉や他の男性よりも、峠くんはすんなりと私の中に浸透してくる。
「餌(え)付けしてるからかも。」
ボソッと峠くんがそう言った。
「そっか。そうかもね。峠くんのお料理に生きる力をもらったんだもんね。」
「俺も、こんなに話せるの、まなさんだけ。」
峠くんはそう言うと、やっと私の背中に手を回した。
……もっと強く抱きしめてほしい。
そんな気恥しいことまで、峠くんには言えてしまえそう。
私もまた、そっと峠くんの背中を抱きしめた。
その夜、峠くんと一緒に寝た。
狭いベッドで、くっついて。
峠くんは、私に手を出してこなかった。
でも、私のほうから唇を押しつけて、舌を絡めた。
困っている峠くんが愛しくて…… もっと困らせたくなった。
「明日から数日逢えないから、抱いて。」
そう懇願すると、峠くんの中の箍(たが)がはずれたらしい。
「……もう……止まりませんからね。」
峠くんはそう言って、やっと私に触れた。
全てが優しかった……。
まなざしも、指先も、唇も。
……こういうのって比較すべきじゃないのかもしれないけれど、たぶん上総んよりも峠くんはじっくりと私の反応を観て加減していた。
結局、まな板の上の鯉は私。
峠くんのいいように料理されてしまった気がした。
久しぶりの性行為だったこともあるのか、気持ちよかったぁ。
最後は正常位で見つめ合いながら同時にイッた……んだけど……問題はその後。
目を閉じて余韻に震えてると、私の顔にポタポタと水滴が落ちてきた。
てっきり峠くんの汗だと思ったのよね。
夏だし。
エアコンつけてても、汗だくになるコトしたわけだし。
でも、目を開けて、びっくりした。
峠くんの両目から豪快に涙が流れ落ちていた。
「え!何で!?」
驚いて、手を伸ばし、峠くんの涙を払った。
その手を捕らわれ、指や手首に何度も口づけされた。
……痛い、とか、ってわけではなさそうだ。
「ごめん……うれしくて……」
それだけ言って、また感極まったらしく、峠くんは新たな涙を流した。
えええええ!
「何も泣かなくても……」
そう言ってから、はたと気づいた。
もしかして……まさか……峠くん……童貞だった?
こんなにかっこよくて、あんなにもてるのに?
がっついてるようにも焦ってるようにも感じなかったけど。
うーん、まさかね。
ドキドキしてると、峠くんは私の額にそっと口付けてから言った。
「ずっと恋い焦がれてやまなかったまなさんを心ゆくまで愛せて、こんな……幸せです。」
なんか、キャラが違うよ、峠くん。
そりゃ中身が優しくて親切でよく気が利くことは知ってたけどさ、どう見ても外観は無頼な雰囲気なのに、これ、男泣きだよ、もう。
「こんな貧弱な体なのに、そんな風に言ってくれて、ありがとう。」
私の謙遜に、峠くんは首を横に振った。
「例え骨が痛くても、あばらが浮き出てても愛しいです。」
「……ごめん。」
別に嫌味を言われてるわけじゃないってわかってるけど、やっぱり負い目を感じた。
峠くんはちょっと笑った。
「謝らないで。ほんとに幸せなんですから。」
また涙が降ってきた。



