「おっきい目。黒目がおっきいんだね。瞳がきらきらしてる。」
「目ぇがでかいからって、何なん?」
上総(かずさ)さんの口説き文句にイラッとしてそう嘯(うそぶ)いた。
……目が大きいことも、造作がそこそこ整ってることも、私の功績じゃない。
偶然の産物、百歩譲って、両親の家系の組合せの問題。
ハッキリ言って、見た目で寄ってこられても、うざいだけだ。
「……せっかく綺麗なのに、眉間に皺。あーあー。伸ばして伸ばして。癖ついちゃうよ。」
そう言って、上総さんは、私の額(ひたい)に唇を押し付けた。
「ギャッ!」
……思わず、ものすごく汚い声を上げてしまった。
でも上総さんは、悪びれず、にっこり笑った。
「うん、皺、とれた。おいで。いつまでも入口にいると、邪魔になるよ。」
そう言って上総さんは私の手を引いて廊下を進み、重々しい木のドアを開けた。
……ビジネスホテルじゃない。
お城の応接室のような緞子張りのソファセットや、10人以上がゆうに座れそうな長いテーブル。
サイドボードもマントルピースも上品かつゴージャス。
「なに?ここ。」
「んー、特別室?もちろん俺の部屋じゃないよ。……ホテルの人のご好意で貸してくださったの。」
そう言いながら、上総さんは私をカウチに座らせた。
「二十歳(はたち)超えてるよね?」
そう言いながらワインクーラーからシャンパンを取り上げる上総さんを睨む。
「私、ザルなんで、酔いませんから。」
「そりゃいいね。一緒に飲める女の子、なかなかいなくて。」
上総さんは私にシャンパングラスを渡しながら、ウィンクした。
「こんなにつれない女の子も、新鮮。」
……あんたに群がる女と一緒にしないでよ。
私は憮然として、シャンパンを引ったくり、一気に飲み干した。
準備してくれた食事は、期待以上に美味しかった。
聞けば、有名なフレンチから運んで来てくださってるらしい。
そして、お酒も美味しかった!
アミューズ到着前に、2人でアペリティフのようにモエ・エ・シャンドンを1本空けてしまったけど、気を利かせたホテルのかたが白ワインと赤ワインも準備してくれていた。
特に、ミネラルの多いシャブリとオードブルの生牡蠣はいくらでも食べられそうで……つい食べてしまった結果……お腹がふくれてしまった。
ポタージュのバターが既に気持ち悪い。
「もしかして、もう食べないの?」
すっかり手が止まった私に、上総(かずさ)さんが尋ねた。
「飲むのは、いくらでもいけるんやけど……食事は、もう、いいです。ごめんなさい。」
上総さんではなく、お料理を持ってきてくださったホテルのかたにそう謝った。
「……なるほど。ほっそいわけだ。少食過ぎだよ。」
言われなくても、わかってる。
でも、もともと胃が小さいのか、消化が苦手なのか・・・本当に食べられないのだ。
特に、バターやお肉は胸焼けがつらい。
「赤ワインください。」
そうお願いして、同じくブルゴーニュの赤を開けてもらった。
渋みと酸味に、口の中が少し落ち着いた。
結局その後は、上総さんが美味しそうに食べるのをうらやましく眺めながら、私はワインの杯を重ねた。
「和食ならもっと食べられそう?」
そう聞かれて、首を傾げる。
「どうかな。好き嫌いじゃないし、その日の体調によるからわかんない。あ、でも、おにぎりとか、お魚の脂は、しんどい。」
そう言ってから、ニッコリ笑って付け加えた。
「日本酒ならいくらでも。」
「なるほど。」
と、上総さんは苦笑した。
呆れられたかな?
「目ぇがでかいからって、何なん?」
上総(かずさ)さんの口説き文句にイラッとしてそう嘯(うそぶ)いた。
……目が大きいことも、造作がそこそこ整ってることも、私の功績じゃない。
偶然の産物、百歩譲って、両親の家系の組合せの問題。
ハッキリ言って、見た目で寄ってこられても、うざいだけだ。
「……せっかく綺麗なのに、眉間に皺。あーあー。伸ばして伸ばして。癖ついちゃうよ。」
そう言って、上総さんは、私の額(ひたい)に唇を押し付けた。
「ギャッ!」
……思わず、ものすごく汚い声を上げてしまった。
でも上総さんは、悪びれず、にっこり笑った。
「うん、皺、とれた。おいで。いつまでも入口にいると、邪魔になるよ。」
そう言って上総さんは私の手を引いて廊下を進み、重々しい木のドアを開けた。
……ビジネスホテルじゃない。
お城の応接室のような緞子張りのソファセットや、10人以上がゆうに座れそうな長いテーブル。
サイドボードもマントルピースも上品かつゴージャス。
「なに?ここ。」
「んー、特別室?もちろん俺の部屋じゃないよ。……ホテルの人のご好意で貸してくださったの。」
そう言いながら、上総さんは私をカウチに座らせた。
「二十歳(はたち)超えてるよね?」
そう言いながらワインクーラーからシャンパンを取り上げる上総さんを睨む。
「私、ザルなんで、酔いませんから。」
「そりゃいいね。一緒に飲める女の子、なかなかいなくて。」
上総さんは私にシャンパングラスを渡しながら、ウィンクした。
「こんなにつれない女の子も、新鮮。」
……あんたに群がる女と一緒にしないでよ。
私は憮然として、シャンパンを引ったくり、一気に飲み干した。
準備してくれた食事は、期待以上に美味しかった。
聞けば、有名なフレンチから運んで来てくださってるらしい。
そして、お酒も美味しかった!
アミューズ到着前に、2人でアペリティフのようにモエ・エ・シャンドンを1本空けてしまったけど、気を利かせたホテルのかたが白ワインと赤ワインも準備してくれていた。
特に、ミネラルの多いシャブリとオードブルの生牡蠣はいくらでも食べられそうで……つい食べてしまった結果……お腹がふくれてしまった。
ポタージュのバターが既に気持ち悪い。
「もしかして、もう食べないの?」
すっかり手が止まった私に、上総(かずさ)さんが尋ねた。
「飲むのは、いくらでもいけるんやけど……食事は、もう、いいです。ごめんなさい。」
上総さんではなく、お料理を持ってきてくださったホテルのかたにそう謝った。
「……なるほど。ほっそいわけだ。少食過ぎだよ。」
言われなくても、わかってる。
でも、もともと胃が小さいのか、消化が苦手なのか・・・本当に食べられないのだ。
特に、バターやお肉は胸焼けがつらい。
「赤ワインください。」
そうお願いして、同じくブルゴーニュの赤を開けてもらった。
渋みと酸味に、口の中が少し落ち着いた。
結局その後は、上総さんが美味しそうに食べるのをうらやましく眺めながら、私はワインの杯を重ねた。
「和食ならもっと食べられそう?」
そう聞かれて、首を傾げる。
「どうかな。好き嫌いじゃないし、その日の体調によるからわかんない。あ、でも、おにぎりとか、お魚の脂は、しんどい。」
そう言ってから、ニッコリ笑って付け加えた。
「日本酒ならいくらでも。」
「なるほど。」
と、上総さんは苦笑した。
呆れられたかな?



