「ふーん。……それもいいかもね。そっか。なるほどね。うん。」
山崎医師はひとしきり頷いて納得して、言った。
「じゃ、帰っていいですよ。その代わり、峠くん、責任持って3食作ってあげてくださいね。」
峠くんはうなずいたけど、私はちょっと慌てた。
「いや、さすがにそれは……峠くんに悪い……」
でも峠くんはキッパリと言ってくれた。
「遠慮しないでください。早くまなさんに元気になってほしい。まなさんのいないゼミはぐだぐだで最悪です。」
ゼミ、という言葉を聞いた途端、身体の中に少し力が湧いた気がした。
「そういえば、請求した資料……もう届いてるんじゃないかしら。」
「ああ。神開さんが受け取って全コピして返却してくれた。院生研にファイリングしてある。」
神開嬢が……ありがたい……。
ムズムズしてきた。
早く資料をじっくり読みたい。
「山崎先生、明日、退院します。手続きしてください。」
「……わかりました。でも必ず通院してください。」
そう言ってから、山崎医師は付け加えた。
「中村上総には、紫原さんに接触しないように伝えますが、医師の指導に強制力はありません。まあでも、時間の問題かな。彼、だいぶ壊れてますよ。」
壊れてる?
……物騒な言葉に、ゾッとした。
やっと、今、上総んがどういう状況なのか……心配になってきた。
翌日、私は退院したその足で学園に向かった。
……まだよろけるので、迎えに来てくれた加倉と峠くんに支えられてゆっくり歩いた。
「紫原くん。……その、まあ、焦らずやりたまえ。」
挨拶に行ってみたけれど、野田教授の態度が以前と違った。
……すっぴんにギョッとしたのかしら。
首をかしげながら、院生研へ行った。
「紫原さん!大丈夫ですか!?」
神開嬢が心配そうに駆け寄ってきてくれた。
「うん。まだあんまり。でも、資料が気になって。ありがとう。コピーして返してくれたんですってね。本当に助かりました。」
そう言って頭を下げると、神開嬢の目が潤んだ。
ぎょっとした。
「え?何で泣くの?」
「……だって……そんなにやつれて……弱々しくて……怖い紫原さんじゃない……」
怖い?
苦笑してると、池尻嬢が入ってきた。
「紫原さん!大丈夫?大変だったわね。みんな心配してたのに面会謝絶って……中絶でもしたの?」
大仰に心配そうに口を開いたけど、最後はやっぱり安定のイケズな池尻嬢だった。
「はあ!?失礼じゃないっすか!?」
加倉がそう怒ってくれた。
峠くんもムッとしてるらしく、私を支える手に力がこもった。
でも私は逆に、笑えてしょうがなかった。
腹の底からこみ上げてくる、闘争心に火がついた。
「池尻さん、わざわざお見舞いに来てくださったんですか?……それは申し訳ありませんでした。過労で安静第一と言われて、特別室でずっと寝てたので、気づけなくて。ナースステーションでお名前仰っていただけましたらお通ししていただきましたのに。私、池尻さんにお会いすると元気が出るんです。」
ニッコリ笑ってそう言った。
あ~、身体と頭に血が巡ってる気がする。
池尻嬢が鼻白んだ。
「特別室……へえ……私は行ってないわよ。園田さんが……」
園田氏、わざわざ来たのか。
「そうでしたか。じゃあ、あとで、園田さんに謝っておきます。教えていただいてありがとうございました。」
池尻嬢の顔が歪んだ。
……あれ?
もしかして、池尻嬢は園田氏が好きなのか?
へえ……。
山崎医師はひとしきり頷いて納得して、言った。
「じゃ、帰っていいですよ。その代わり、峠くん、責任持って3食作ってあげてくださいね。」
峠くんはうなずいたけど、私はちょっと慌てた。
「いや、さすがにそれは……峠くんに悪い……」
でも峠くんはキッパリと言ってくれた。
「遠慮しないでください。早くまなさんに元気になってほしい。まなさんのいないゼミはぐだぐだで最悪です。」
ゼミ、という言葉を聞いた途端、身体の中に少し力が湧いた気がした。
「そういえば、請求した資料……もう届いてるんじゃないかしら。」
「ああ。神開さんが受け取って全コピして返却してくれた。院生研にファイリングしてある。」
神開嬢が……ありがたい……。
ムズムズしてきた。
早く資料をじっくり読みたい。
「山崎先生、明日、退院します。手続きしてください。」
「……わかりました。でも必ず通院してください。」
そう言ってから、山崎医師は付け加えた。
「中村上総には、紫原さんに接触しないように伝えますが、医師の指導に強制力はありません。まあでも、時間の問題かな。彼、だいぶ壊れてますよ。」
壊れてる?
……物騒な言葉に、ゾッとした。
やっと、今、上総んがどういう状況なのか……心配になってきた。
翌日、私は退院したその足で学園に向かった。
……まだよろけるので、迎えに来てくれた加倉と峠くんに支えられてゆっくり歩いた。
「紫原くん。……その、まあ、焦らずやりたまえ。」
挨拶に行ってみたけれど、野田教授の態度が以前と違った。
……すっぴんにギョッとしたのかしら。
首をかしげながら、院生研へ行った。
「紫原さん!大丈夫ですか!?」
神開嬢が心配そうに駆け寄ってきてくれた。
「うん。まだあんまり。でも、資料が気になって。ありがとう。コピーして返してくれたんですってね。本当に助かりました。」
そう言って頭を下げると、神開嬢の目が潤んだ。
ぎょっとした。
「え?何で泣くの?」
「……だって……そんなにやつれて……弱々しくて……怖い紫原さんじゃない……」
怖い?
苦笑してると、池尻嬢が入ってきた。
「紫原さん!大丈夫?大変だったわね。みんな心配してたのに面会謝絶って……中絶でもしたの?」
大仰に心配そうに口を開いたけど、最後はやっぱり安定のイケズな池尻嬢だった。
「はあ!?失礼じゃないっすか!?」
加倉がそう怒ってくれた。
峠くんもムッとしてるらしく、私を支える手に力がこもった。
でも私は逆に、笑えてしょうがなかった。
腹の底からこみ上げてくる、闘争心に火がついた。
「池尻さん、わざわざお見舞いに来てくださったんですか?……それは申し訳ありませんでした。過労で安静第一と言われて、特別室でずっと寝てたので、気づけなくて。ナースステーションでお名前仰っていただけましたらお通ししていただきましたのに。私、池尻さんにお会いすると元気が出るんです。」
ニッコリ笑ってそう言った。
あ~、身体と頭に血が巡ってる気がする。
池尻嬢が鼻白んだ。
「特別室……へえ……私は行ってないわよ。園田さんが……」
園田氏、わざわざ来たのか。
「そうでしたか。じゃあ、あとで、園田さんに謝っておきます。教えていただいてありがとうございました。」
池尻嬢の顔が歪んだ。
……あれ?
もしかして、池尻嬢は園田氏が好きなのか?
へえ……。



