「本籍地、どうする?」
1月半ば。
両家の親に結婚の意志をを伝え、戸籍謄本を取り寄せ、いざ婚姻届に記入し始めてから、はたと困った。
春までに借家を見つけて引っ越すつもりだけど、とりあえず今のところ未定だ。
「……両親は実家にしろって言ってたけど……どこでもいいね。……まなさん、どこがいい?」
峠くん自身はこだわりがないらしい。
「皇居とか御所とか多いらしいね。ん~。別に城郭マニアでもないしなあ。むしろ山とか森とか海とか島とか……」
「……せめて、2人に所縁(ゆかり)のある場所にしませんか?」
苦笑してる峠くんに、私も笑い返した。
「出逢った劇場?京都駅?……再会した割烹?学園?」
峠くんはそっと私の頬に手をあてた。
「……それより、先に……報告したいんだけど。」
誰に?
……と、聞くまでもない気がした。
「私も?一緒に?峠くんに任せていいの?」
峠くんは、じっと私を見つめてから、そっと啄むようなキスを落とした。
「……瞳が……揺れてる。ごめんね。まなさんを困らせるつもりはないんだ。嫌なら俺が1人で、」
「ううん。一緒に行く。てか、私が言う。……ずっと気には、なってたから。」
私の両手を取って、峠くんはうなずいた。
「……俺も。ありがとう。……上総(かずさ)も心配してたから……まなさんのこと。」
うん。
たぶん、そうなんだろうね。
峠くんは、私にはもちろんだけど、上総んにも、てか、誰に対しても優しく親切だ。
そして、上総んも、とても優しいヒト。
大丈夫。
私がオトナになれば、これ以上の波風は立たないはず。
……それでも少し不安な私を、峠くんはいつまでも黙って抱きしめてくれていた。
背中をさすって、何度もキスをして、「大丈夫だよ」と伝えてくれていた。
何だか、自分じゃない気がする。
こんなにも心から依存して、甘えて、自分の弱さや苦しさをそのまま出せるなんて。
私だけのヒト。
お互いの唯一無二の存在。
それがどれだけ幸せなことか。
……泣けてくるよ、マジで。
くすんと鼻をすすった私の瞳を、峠くんが覗き込む。
じぃっと見つめてから、ホッとしたようにほほ笑んだ。
悲しくて泣いてるわけじゃない、って伝わったらしい。
ほらね。
言葉がなくても、峠くんとは心が通じ合ってるの。
うれしくて、私もまた涙目のままほほ笑んだ。
「……ずっと、まなさんと一緒にいるよ。不安な時も、淋しい時も。」
口下手でも、気の利いたこと言えなくても、私の望みを叶えてくれる。
でも、私も、峠くんに幸せをプレゼントしたい。
早く、名実共に峠くんのモノになりたい。
すりっと身体を擦り付けて、そっとため息をついた。
……上総んにも、早くぴったりのヒトがでいるといいいな。
とりあえず、美子さんに連絡を取ってみた。
今月の花形歌舞伎のチケットはお断りしておいたので、久しぶりだ。
<ご無沙汰してます。紫原です。今、忙しいですか?>
メールしてから電話……と思ったのだが、美子さんからの返信が来ない。
忙しいのかな。
1月半ば。
両家の親に結婚の意志をを伝え、戸籍謄本を取り寄せ、いざ婚姻届に記入し始めてから、はたと困った。
春までに借家を見つけて引っ越すつもりだけど、とりあえず今のところ未定だ。
「……両親は実家にしろって言ってたけど……どこでもいいね。……まなさん、どこがいい?」
峠くん自身はこだわりがないらしい。
「皇居とか御所とか多いらしいね。ん~。別に城郭マニアでもないしなあ。むしろ山とか森とか海とか島とか……」
「……せめて、2人に所縁(ゆかり)のある場所にしませんか?」
苦笑してる峠くんに、私も笑い返した。
「出逢った劇場?京都駅?……再会した割烹?学園?」
峠くんはそっと私の頬に手をあてた。
「……それより、先に……報告したいんだけど。」
誰に?
……と、聞くまでもない気がした。
「私も?一緒に?峠くんに任せていいの?」
峠くんは、じっと私を見つめてから、そっと啄むようなキスを落とした。
「……瞳が……揺れてる。ごめんね。まなさんを困らせるつもりはないんだ。嫌なら俺が1人で、」
「ううん。一緒に行く。てか、私が言う。……ずっと気には、なってたから。」
私の両手を取って、峠くんはうなずいた。
「……俺も。ありがとう。……上総(かずさ)も心配してたから……まなさんのこと。」
うん。
たぶん、そうなんだろうね。
峠くんは、私にはもちろんだけど、上総んにも、てか、誰に対しても優しく親切だ。
そして、上総んも、とても優しいヒト。
大丈夫。
私がオトナになれば、これ以上の波風は立たないはず。
……それでも少し不安な私を、峠くんはいつまでも黙って抱きしめてくれていた。
背中をさすって、何度もキスをして、「大丈夫だよ」と伝えてくれていた。
何だか、自分じゃない気がする。
こんなにも心から依存して、甘えて、自分の弱さや苦しさをそのまま出せるなんて。
私だけのヒト。
お互いの唯一無二の存在。
それがどれだけ幸せなことか。
……泣けてくるよ、マジで。
くすんと鼻をすすった私の瞳を、峠くんが覗き込む。
じぃっと見つめてから、ホッとしたようにほほ笑んだ。
悲しくて泣いてるわけじゃない、って伝わったらしい。
ほらね。
言葉がなくても、峠くんとは心が通じ合ってるの。
うれしくて、私もまた涙目のままほほ笑んだ。
「……ずっと、まなさんと一緒にいるよ。不安な時も、淋しい時も。」
口下手でも、気の利いたこと言えなくても、私の望みを叶えてくれる。
でも、私も、峠くんに幸せをプレゼントしたい。
早く、名実共に峠くんのモノになりたい。
すりっと身体を擦り付けて、そっとため息をついた。
……上総んにも、早くぴったりのヒトがでいるといいいな。
とりあえず、美子さんに連絡を取ってみた。
今月の花形歌舞伎のチケットはお断りしておいたので、久しぶりだ。
<ご無沙汰してます。紫原です。今、忙しいですか?>
メールしてから電話……と思ったのだが、美子さんからの返信が来ない。
忙しいのかな。



