ひどい。
まるで奴隷か家畜に対する扱いじゃないか。
「そんなの、愛じゃない。」
泣きながらそう呻いた。
山崎医師は、悲しい顔をした。
「愛ですよ。加害者側の理論で申し訳ないけど。被害者には暴力以外のなにものでもないことはわかってますけどね。」
「そんなことしたって、無駄なのに?」
結局、別れた2人を知ってるので、私は強気でそう糾弾した。
すると山崎医師は私をじっと見て首を振った。
「無駄じゃない。そこまでしてもダメだって実感するまで、加害者は自分を止められない……こともあるんですよ。同時に、被害者が自分を完全に見捨ててくれることも、心のどこかで望んで。」
意味がわからない。
「そんなの、矛盾してます。やっぱり、愛じゃない。」
「……どんなに歪んでても、愛です。執着心。所有欲。立派な愛ですよ。」
立派って!
思わず失笑した。
山崎医師は、普段の涼しい顔に戻ってから言った。
「紫原さんの場合は、一生飼い殺しも可能……というか、もはやそれぐらいしなきゃ手元に留めて置けない、と中村上総が思いつめる不安も少しありました。」
笑いが固まる。
「怖いこと言いますね。」
「まあ、常軌を逸した人間がどう考えるか、なんてわかりませんけどね。でも、少なくとも彼は紫原さんを傷つけなかった。安心しました。」
そう言って、山崎医師はニッコリ笑った。
「傷は付けてないけど……」
さすがに言い憚られたけど、意を決して言った。
「剃られました。」
恥ずかしくて、うつむいた。
でも、山崎医師は全く動じなかった。
「かわいい所有欲ですね。珍しいことじゃない。」
ちょっとムッとして、付け加えた。
「貞操帯も準備してました。拒否したけど。あんなの買うこと自体、どうかしてるわ。」
山崎医師は、ふっと笑った。
「あんなのって言うけど、別に、誰でも普通に買えるものですよ?ネットの大手ショッピングサイトでも買える。珍しいものじゃない。」
そして、カルテに何やら書き加えながら言った。
「まあ、中村上総に加虐趣味はないみたいだし、今頃、後悔してると思うけど。」
普通、なのか?
いや、普通じゃないだろう。
……とは思うものの、いかんせん、上総んと、チェリー峠くんしか知らない私にはそれ以上はうかがい知ることはできなかった。
待合室で待っていてくれた峠くんを見ると、うるっと涙がこみ上げてきた。
「まなさん?」
心配そうな峠くんの横にくっついて座り、肩に頭を預けた。
「加倉、けっこう酷い目に遭ってきたんだなあ、って。私がされたことなんか、普通、って言われた。」
ぐしぐしと涙を拳でぬぐいながらそうつぶやいた。
峠くんは、ちょっと笑った。
「まあ、あいつは、そっちの嗜好強いから。いいんじゃない?比較対象おかしいと思うよ。」
「知ってたの?」
驚いて体を起こして、峠くんを見た。
「学部の頃からの付き合いだから。」
さらりと峠くんはそう流した。
まるで奴隷か家畜に対する扱いじゃないか。
「そんなの、愛じゃない。」
泣きながらそう呻いた。
山崎医師は、悲しい顔をした。
「愛ですよ。加害者側の理論で申し訳ないけど。被害者には暴力以外のなにものでもないことはわかってますけどね。」
「そんなことしたって、無駄なのに?」
結局、別れた2人を知ってるので、私は強気でそう糾弾した。
すると山崎医師は私をじっと見て首を振った。
「無駄じゃない。そこまでしてもダメだって実感するまで、加害者は自分を止められない……こともあるんですよ。同時に、被害者が自分を完全に見捨ててくれることも、心のどこかで望んで。」
意味がわからない。
「そんなの、矛盾してます。やっぱり、愛じゃない。」
「……どんなに歪んでても、愛です。執着心。所有欲。立派な愛ですよ。」
立派って!
思わず失笑した。
山崎医師は、普段の涼しい顔に戻ってから言った。
「紫原さんの場合は、一生飼い殺しも可能……というか、もはやそれぐらいしなきゃ手元に留めて置けない、と中村上総が思いつめる不安も少しありました。」
笑いが固まる。
「怖いこと言いますね。」
「まあ、常軌を逸した人間がどう考えるか、なんてわかりませんけどね。でも、少なくとも彼は紫原さんを傷つけなかった。安心しました。」
そう言って、山崎医師はニッコリ笑った。
「傷は付けてないけど……」
さすがに言い憚られたけど、意を決して言った。
「剃られました。」
恥ずかしくて、うつむいた。
でも、山崎医師は全く動じなかった。
「かわいい所有欲ですね。珍しいことじゃない。」
ちょっとムッとして、付け加えた。
「貞操帯も準備してました。拒否したけど。あんなの買うこと自体、どうかしてるわ。」
山崎医師は、ふっと笑った。
「あんなのって言うけど、別に、誰でも普通に買えるものですよ?ネットの大手ショッピングサイトでも買える。珍しいものじゃない。」
そして、カルテに何やら書き加えながら言った。
「まあ、中村上総に加虐趣味はないみたいだし、今頃、後悔してると思うけど。」
普通、なのか?
いや、普通じゃないだろう。
……とは思うものの、いかんせん、上総んと、チェリー峠くんしか知らない私にはそれ以上はうかがい知ることはできなかった。
待合室で待っていてくれた峠くんを見ると、うるっと涙がこみ上げてきた。
「まなさん?」
心配そうな峠くんの横にくっついて座り、肩に頭を預けた。
「加倉、けっこう酷い目に遭ってきたんだなあ、って。私がされたことなんか、普通、って言われた。」
ぐしぐしと涙を拳でぬぐいながらそうつぶやいた。
峠くんは、ちょっと笑った。
「まあ、あいつは、そっちの嗜好強いから。いいんじゃない?比較対象おかしいと思うよ。」
「知ってたの?」
驚いて体を起こして、峠くんを見た。
「学部の頃からの付き合いだから。」
さらりと峠くんはそう流した。



