約2時間前に起こった出来事を振り返った後、私はため息をついた。

缶のコーンポタージュを片手にコンビニのベンチに腰を下ろしている私の足元には、大きなボストンバックとキャリーバックがあった。

「これからどうしろって言うのよ…」

毒づくように呟いた後、コーンポタージュを口に含んだ。

とうもろこしの温かい甘さが冷たくなってしまった躰を癒してくれた。

「好きな人ができたから出て行ってくれって、頭おかしいんじゃないの?」

一言も、何も返すことができなかった自分が悔しかった。

高校時代からつきあっていた彼氏に言われた後、私はボストンバック2個とキャリーバック1つに全ての荷物をまとめた。

それから彼にお別れの言葉を言わないで、何も言わずに一緒に暮らしていた家から出て行ったのだった。