オトナチック

電話を終えてから1時間後。

「高浜!」

杉下くんが現れた。

「本当にここなんだな?」

ここまで走ってきたのか、息が切れていた。

「うん、集中治療室にいるって」

首を縦に振って答えた私に、
「いざ面会するとなると、何だか変な感じだな。

やっぱり、20年以上も離れていたからなんだろうな」

杉下くんは息を吐いた。

「今さら何を言ってるのよ。

会いに行くって言ったのは杉下くんだよ」

ポンと、私は杉下くんの肩をたたいた。

「そうだったな」

杉下くんは私を見つめると、
「場合によっては俺を殴ってくれても構わないから」
と、言った。