オトナチック

杉下くんに軽蔑された。

杉下くんに嫌われた。

せっかく同僚として同居人として、杉下くんとうまく接していたのに…。

おばあさんの前で婚約者を演じていたのに…。

気づいてしまった彼へのこの気持ちを隠そうと思っていたのに…。

「――おい、高浜!」

杉下くんの声から逃げるように、私はその場から立ち去った。

言ってしまった…。

杉下くんに伝えてしまった…。

「あっ…ちょっと、廊下は走らないでください!

患者さんの迷惑になります!」

看護師の声がどこからか聞こえたような気がしたけど、無視をした。

頬に感じた冷たい空気に、私は自分が病院の外へ飛び出したことに気づいた。