オトナチック

「すぐに電気つけるから」

靴を脱いでいる私に杉下くんは手早く靴を脱ぐと、奥の方へと消えて行った。

カチリとスイッチを押す音がしたのと同時に家の中が明るくなった。

私はキャリーバックを持ちあげると、杉下くんがいる奥の方へと足を向かわせた。

私がきたことを確認した後、
「ここがリビングで、こっちがキッチン」

杉下くんが場所を指差した。

リビングはソファーとテレビだけが置いてあるシンプルなものだった。

全くと言っていいほど、生活感がないと言うのだろうか?

コミック本やDVDで散らかっていた彼氏の部屋とは大違いだなと、私は思った。

もしかしたら、杉下くんは潔癖症なのかも知れない。

だとしたら汚さないように気をつけないと。

そう思っていたら、
「冷蔵庫に何か物を入れる時は必ず自分の名前を書いてから入れてくれ。

たぶん、間違えるかも知れないから」

杉下くんが言った。