オトナチック

私はいつまで、杉下くんの婚約者を演じればいいのだろうか?

後何回演じれば、彼の本当の婚約者になれるのだろうか?

「高浜?」

「あ…じゃあ、食べようか」

両手をあわせた私のまねをするように、杉下くんも両手をあわせた。

「いただきまーす」

いつになったら、私のことを“芽衣子”と本当に名前で呼んでくれるのだろうか?

“高浜”は私の名字だけれど、そう呼ばれるのはもう嫌だった。

でも契約の関係だから、わがままを言ってはいけない。

私の勝手で、杉下くんとの関係を壊す訳にはいけない。

だから…あなたのおばあさんが亡くなるまで私はちゃんと婚約者を演じるから、その日がくるまで私をあなたの隣でいさせてね。