オトナチック

会計を済ませると、カラカラとキャリーバックを言わせながらファミレスを後にした。

私は杉下くんと一緒に歩きながら、彼の自宅に向かっていた。

同僚とは言え、いつまでも彼のところでお世話になる訳にはいかない。

急いで住むところを探して、早く出て行かなければ…。

そう考えていたら、
「あんまりしゃべらないんだな」

杉下くんが声をかけてきた。

「えっ、えーっと…」

声をかけられた私は戸惑った。

「まあ、別にいいけど」

杉下くんは呟くように言った。

何がいいって言うんだろう?

首を傾げた私に、
「ここだ」

杉下くんの声に視線を向けると、グレーの壁のマンションが目の前にあった。