オトナチック

杉下くんの目がゆっくりと開かれた。

「――んっ…ああ、どうした?」

杉下くんが私に視線を向けてきた。

彼に見つめられた私の心臓がドキッと鳴った。

「えっと、お風呂が空いたから…」

心臓の音を隠すように、私は言った。

「ああ、そうか」

杉下くんは返事をすると、躰を起こした。

「早く風呂入って寝よ…」

コキコキと首を動かしながら、杉下くんはバスルームへと足を向かわせた。

彼の後ろ姿が見えなくなると、
「よかった…」

ホッと胸をなで下ろした。

眼鏡を外そうとしたことと心臓の音を聞かれなかったことに、安心した。