「そしたら、杉下くんが作ったみそ汁が食べたいって思った。

自分でもよくわからないけれど、杉下くんにみそ汁を作ってもらいたいって思った」

そう言った私に、
「まあ、高級フレンチ料理をねだられなくてよかったって思ってるけど」

杉下くんは笑いながら言った。

「じゃ、食うぞ」

杉下くんの合図で両手をあわせようとした時、
「あっ、すまん」

そう言って断りを入れた後、杉下くんはシャツの胸ポケットからスマートフォンを取り出した。

スマートフォンが震えているところを見ると、着信があったようだ。

杉下くんは画面に視線を向けた後、すぐにシャツの胸ポケットに入れた。

「出なくていいの?」

そう聞いた私に、
「知らない番号だった」

杉下くんは答えた。