ポソッと何かを言った一煌だけど、よく聞こえなかった。
「とにかく、軽く言うなってこと」
「……? うん、わかった」
どういう意味なんだろ。
「で、好きな子いるの?」
「お前なぁ……。今忠告したばっかでそれ言う?
聞かれても教えない」
「えぇー! なんで!?」
「何でも。そんなことより悩み事は解決したのか?」
上手く話をはぐらかして、私の話題に戻されてしまった。
少しくらい教えてくれたっていいのに。
納得いかない顔をする私に、漫画を閉じた一煌はそのまま表紙で私の頭をポンと軽く叩く。
「そういう態度を見ると、そんな深刻な悩みじゃなさそうだな」
「えっ……。いや、それはその~」
そうだよ! 人のこと気にしてる場合じゃなかった!


