「一聖は琴に甘いんだよ。いつも言ってんだろ。
そんな王子様みたいな男がこの世の中にいるわけないってことを教えてやってんだよ。
もっと周りをよく見ろって言ってんの」
「言っとくけど、私は一煌よりも見る目あると思う」
自信満々に言い切った私に疑わし気な目が向けられる。
「何よその目は」
「べっつに~? 見る目あるねぇ……。
言ってる時点でやっぱないじゃん」
「一煌いい加減にやめてあげなよ。
それ以上言ったら琴ちゃんに嫌われちゃうよ」
「琴に嫌われても痛くも痒くもないし。
まず琴が俺を嫌いになるとかできないと思うけどな」
ニヤリと笑った一煌は言うだけ言ってさっさと校門に入っていく。
何あの態度! 一煌を嫌いになるとかできない?
なんでそんなことがわかるの!?
あんまり意地悪ばっかりされると私にだって感情があるんだから、嫌いになることだってあるかもしれないのに。


