「まぁまぁ、ふたりともそれくらいにして。
一煌も琴ちゃんが可愛いからってイジメすぎでしょ」
一聖の口から可愛いって言葉が出てくるのは嬉しいけど、それが私に向けられたものじゃないのは何か悲しいような。
「可愛いからじゃないし。琴って面白いじゃん、顔が」
一煌に可愛いって思われてなくてもいいけど、顔が面白いってどういう意味?
「そういう言いたいこと我慢して真っ赤になってる顔とか」
私の顔を指差して、またニヤリと笑ってくる一煌は本当に意地悪だ。
「ほら一煌も琴ちゃんからかうのはそれくらいにして。
琴ちゃんも甘い物食べれば落ち着くよ?」
一聖は自分の鞄からチョコが入った箱を取り出して、私の手に包み紙に包まれたチョコをひとつ乗せてくれる。
「あ、ありがとう」
一聖は頷くと一煌にもチョコを渡していた。


