「あ、えっと、お願いします?」
「なんで疑問形? つか、この頭さ、鳥の巣みたいなんだけど」
されるがままになっていた私の頭を触っていた一煌が意地悪にふっと笑う。
「鳥の巣って……もうちょっと何か言い方あるでしょ」
一煌の手を払いのけて両手で自分の髪を軽く整える。
そしてふと気付く。
あれ、一聖は?
そんな私の心の声を見透かしたようなタイミングで一煌の声が被る。
「一聖ならちょっと遅れてくるって。
なんかバイト仲間が急に休んだから代わりに出勤するって」
そうなんだ。
無意識に軽く肩を落とすと、一煌が顔を覗きこんでくる。
「な、何?」
「すげー残念そうな顔」
「っ! そ、そんなことないけど」
ズバリ言い当てられ内心焦るけど、それを悟られないようにと平常心を装う。