だけど真子ちゃんには私が言いたいことがわかったみたいで、確認するようにその人の名前を口にする。
「……一聖君」
真子ちゃんの口から出てきた名前にまた心臓が大きく跳ねる。
「琴ちゃんは一聖君のことが好き?」
真っ直ぐに見つめてくる真子ちゃんから逃げられない。
返事の代わりに小さく頷くと、ふっと小さく笑う気配がした。
「そうなんだ。一聖君カッコイイもんね! 琴ちゃんが好きになるのよくわかるよ」
友達に好きな人が誰って教えるのって結構勇気がいるものなんだ。
真子ちゃんがいつも通りに笑ってくれたから、何だかちょっとホッとした。
「真子ちゃんはいるの? 好きな人」
自分の気持ちがバレて少しだけリラックスした私は反対に知りたくなった。
きっと真子ちゃんのことだから、好きな人いたら素敵な人なんだろうなぁ。