無理矢理連れてこられた劇場はかなり広かった。 「あらー、すごく良い席!」 一人盛り上がるお母さんと、全く見る気のない私。 とにかく早く劇が始まって終るのを待った。 席に座ってから30分後、劇は始まった。 目の前で繰り広げられる光景に目を奪われているお母さん。 私はというと、トイレに行きたくてしょうがなかった。 「お母さん、トイレ。」 小声で話しかけて袖を何度か引っ張ったけど、劇に夢中なお母さんは気づかない。 しょうがない、一人でトイレ行こう。