それにしても、オレンジジュースを飲みすぎた。
「笑美、久しぶり」
お手洗いから出ると、懐かしいようなそうでもないような、そんな声に足を止める
突然過ぎて、戸惑っているわたしに
直人は微笑む
「オレンジジュース」
「え?」
「オレンジジュース、飲みすぎだろ?
昔から好きだったもんな〜」
「直人...
高倉先生、監督なんですね。
わたし、今日知ったんですよ」
まさか、直人が昔の話をするなんて思わなくて。わたしがオレンジジュースを好きだったことを、覚えているなんて思いもしなかったから...
なんて返事をしたらいいかわからなかった。
「あ、あぁ。
娘さんが見学にきたとき、
笑美と優人さんの子だと、
すぐわかったよ」
笑った顔が、笑美にそっくりだ
そんなことを言いながら、どこか寂しげな表情をする高倉先生。
「お世話になります」
そう言うのが精一杯で、その昔と変わらない純粋な目で見られることへ
心苦しささえ感じた
「今日、優人さんは?」
「あぁ、出張で...」
「そうか、それは残念だ」
そういうと、彼―高倉先生は
講堂内へと戻っていった

