エレベーターで降りる人たちの流れに逆らい、人気のない階段を上がっていくと、下りて来る人物とばったり会った。
商品開発部のトップ、ゆうひ部長だった。
社長の息子である元宮兄弟は、まるで双子のように対照的な名前だ。
どちらも元宮部長のため、社内では下の名前で呼び分けされている。
まさかこんなところでばったりお会いするとは思わず、びっくりした。
慌てて端によけて止まり、会釈した。
ちょうど階段の踊り場で、すれ違うためのスペースは十分にある。
一瞬足を止めたゆうひ部長が、険しい顔つきのまま下りて来る。
ゆうひ部長は繊細な雰囲気で、神経質そうに見える。
トップは長めでゆるいパーマがかかり、襟足はすきっと短い、お洒落なヘアスタイル。面長な輪郭に、すっと通った鼻筋。切れ長で少し目尻の下がった瞳に、薄い唇。
緊張するけれど、ただ横を通り過ぎるのを待てばいい、はずだった。
なのにゆうひ部長は通り過ぎず、私と同じ位置で足を止めた。
えっ?
と思ったときには壁ドンされ、キスをされていた。
晴天の霹靂すぎて、頭が真っ白になった。
え、え? えええっ!?
「――っむっ……んっ……」
口内に押し入ってくる感触に、ますます脳みそがパニクる。
艶かしくうごめくものは、ゆうひ部長の舌だ。
そしてこれは何? 固くて平べったい、無機質なものが口の中に入ってくる。

