Addictive Gummi



「ワイン引っかけて、トイレへ連れ込む作戦、あんたのせいで失敗したじゃん」

 はい?

 一瞬止まってしまった思考回路をぐるぐるさせた。

 トイレへ連れ込むって……あの男の人を?
 わざとつまづいて、ワインをかける気だったってこと?


“大丈夫?”

 そう言ってハンカチを差し出してくれたあの男の人。

 確かにイケメンだった。
 背が高くて、しゅっとした感じで、すこしきつそうな顔立ちだったけど、紳士的だった。


「……すみません」

 理不尽ながら謝った。

 派遣の単発バイトはもう終わったとはいえ、一応相手はお客様で、私はここの会場のスタッフだと思われているだろうし。

「もうマジで空気読めよな」

「コイツのせいで収穫なしだわ」

 口々に罵られる。
 綺麗に着飾った女性たちの、あまりの口汚さに眩暈さえ覚える。

 女ってほんと怖い。パーティーでは満面の笑顔を浮かべ、高い声で可愛らしく喋っていたのに。