この音に想いのすべてを乗せて。








そして、歩くこと5分。

羽奏の家である鈴峰(すずみね)楽器は俺の家からとても近いところにある。

中学で吹奏楽部の姉貴はよくここへ来て、楽器を見たりピアノを弾かせてもらったりしている。




「おばさーん!

こんにちはー。」

姉貴は店の奥にいると思われる店主の羽奏の母さんに向かって大きな声で呼びかけた。



「あら、汐梨ちゃん。

今日は何を探しにきたの?」

立ち話を始めるおばさんと姉貴。



特に用事もないのに連れてこられた俺は適当に店内を歩き回って楽器を眺めていた。