計画的俺様上司の機密事項

「ここの掃除をすることになった。夏穂、よろしく頼むな」


シンちゃんは大きな手でわたしの頭をポンポンと軽く叩いた。


「え、ここをですか?」


「だって、常務から〜掃除する代わりにっていってくれたし〜。もう決めちゃったし〜」


シンちゃんは口を尖らせながら言ってきた。


「ちょ、ちょっとシンちゃん」


「その代わりにお家でたーっぷりご奉仕するから、な?」


白い歯をむき出しにして、ニコっと外のどの人にも受ける笑顔をわたしにみせた。

もう。わたしのドキドキした気持ち、返せってのっ。


「わかりました。やればいいんですよね、やれば」


「やっぱり物分かりのいい部下を持って幸せだなあ」


「は、はあ……」


シンちゃんは悪びれるそぶりもなく、部屋の中をまた神妙な目つきで見渡していた。


「さ、帰るか」


シンちゃんは部屋の入り口に立っていた。


「先に戻れ。さすがに二人でエレベーターに乗ってイチャイチャして帰ったら噂になると困るだろ」


それはさっきわたしが言いたかったセリフだ。


「先に戻ってたまりにたまった仕事を片付けますから」


頭にきて、嫌味がでてしまう。

園田部長のときは無理な仕事でも嫌味なんか声に出さなかったのに。


「もう少し遊びたいのか。オレとあーんなことやら、こーんなことやら」


「仕事中ですし、結城部長には興味ないですから」


シンちゃんは目を丸くしたけれど、すぐに目を細めて、


「いい子だ」


といって、また頭を軽く撫でられた。