計画的俺様上司の機密事項

野上くんと比べてわたしは何が秀でているのかわからなかった。

もしかして、わたしの噂の趣味が会社に漏れ出ているのだろうか。


「うわー、有沢。ちょっと」


隣の島の向かいの席に座る渡瀬先輩が手を上げてこっちにおいでと手招きしている。


「どうしたんですか、渡瀬先輩」


「このさ、アンケートの集計のために入力してるんだけどさ、計算式がさ、うまくいかないんだよ」


「ちょっと待っててください」


隣に空いている椅子を借り、渡瀬先輩の隣に座り、パソコンを借りた。

この数式じゃエラーになるのも無理ないわ。

がちゃがちゃと音を立ててキーボードをたたき、エンターキーを押した。


「直った。ありがと、有沢。今度スイーツおごるわ」


「いえいえ」


やっぱり、有沢すごいわ、と渡瀬先輩はまじまじとパソコン画面をみて、それから仕事を進めていった。

この部署に所属して最初の仕事が書類整理の仕事で、今まで手動で入力するところをうまく機能を使ってまとめてみたところ仕事の効率があがった。

さらに園田先輩が表計算で困っているところを手伝ったのがきっかけだったのかもしれない。

そのおかげで先輩たちとの仲が打ち解け合うようになり、園田先輩と渡瀬先輩に懇切丁寧に仕事についてのノウハウを学ぶことができた。

おかげで噂が噂を呼び、パソコン関係でトラブルがあると、別の部署でもお呼びがかかるようになったけれど。