計画的俺様上司の機密事項

カバンからピンクの巾着袋に入ったお弁当箱を取り出し、机の上に広げる。

お弁当箱にはクマの形をしたおいなりさんだったり花の形にくりぬいた野菜や女の子の笑顔を海苔でデコレーションされたお弁当になっていた。


「今日はこんなに凝ってる……」


一体朝何時くらいに起きてデコ弁当を準備しているのか、想像しただけで気が遠くなりそうになる。

恐る恐るクマの形のおいなりさんを頬張る。

やさしい甘さが口に広がる。

シンちゃんの料理の腕は外見だけじゃなく、中身も完璧だな、とおいなりさんのシャリを噛みながら思う。


「お、すごい。話題のデコ弁当だね」


気がつけば野上くんが後ろでわたしのお弁当をのぞいていた。


「え、あ、これ……」


「やっぱり有沢さん、すごいなあ。手の凝ったお弁当つくるんだもん」


「う、うん……」


わたしのバカ。何で野上くんに上っ面な返事をしちゃうんだ。


「僕にも、その……お弁当、作ってほしいな」


「えっ!」


「あ、冗談だよ。有沢さんが作るお弁当おいしそうだから、と思って。つい」


野上くんは申し訳なさそうにしているものの、うらやましそうに目を輝かせてわたしと食べかけのお弁当の交互をみている。

この状況で、無理無理、だってシンちゃんが毎朝わたしより早起きしてお弁当をつくってくれているし、わたしが作るご飯なんて見た目も中身もひどすぎる出来なんだけどなあ、なんて言えない。

さすがに野上くんの空気を読んであげたほうがいいのかもしれない。


「……作ろうか?」


「え、いいの?」


まるで野上くんを取り囲むかのように、たくさんの花が咲いたみたいにぱあっと明るい笑顔をみせた。


「楽しみにしてる。有沢さんの分も仕事手伝うからね」


野上くんは嬉しそうにコンビニで買ってきたお弁当を頬張りつつもアイデアを練っているようで、机に転がっていたペンとメモ帳にキーワードを書いていた。

ああ、どうして野上くんに言っちゃったんだろう。

と後悔しながら、残りのお弁当を平らげた。