計画的俺様上司の機密事項

「それ以上いうと、キスしちゃうからな」


意地悪な笑みと太く長い指先のせいで、恥ずかしくなって顔がほてり始めた。

しかたなくコクンと軽く頷くと、シンちゃんも頷いて、


「それでよし」


指を唇から離すとわたしの頭を大きなてのひらでポンポンと叩いた。


「もう、シンちゃんってば」


これじゃあ一体なんの話をしてたか、わけがわからなくなる。


「どうして仕事のときのシンちゃんってあんな感じなの?」


「あんな感じって?」


「いつもと違うっていうか」


「あれが本来のオレだ」


「こっちじゃなくて?」


「こっちは夏穂だけにみせてるだけだ」


シンちゃんは仕事場でみせた鋭い視線をわざとわたしにぶつけてきた。


「えっ」


「馴れ馴れしくしてほしいのか? 会社で」


「そんなこと、ないけど」


わたしの弱々しい声に反応してか、鋭かった視線をゆるめていつものやさしいシンちゃんの顔つきに戻る。


「そっか、ちょっとつらく当たっちゃったかな」


「仕事だってわかってるけど」


「ああ、わかった。いい感じに教育してやる」


教育っていう言葉に胸がキュンとなってしまう。

シンちゃんはニヤリといやらしい笑いを浮かべてる。

わたしの反応を楽しんでいるみたい。


「ちょ、ちょっとシンちゃん」


「明日以降お楽しみに。さ、風呂わいたから先に入れ。それとも上司と水入らずで一緒に入るか? 仕事の話をしながら。仕事以上の話になるかもしれないがな」


「もう、いいって、その話はっ」


あはは、と甲高く笑っているおやじシンちゃんを尻目にお風呂場へ向かった。