計画的俺様上司の機密事項

遅くまで仕事って、何よ。

持っていた箸を箸置きに置いて、シンちゃんの顔をみた。

シンちゃんはすました顔をして、自分のお皿に残ったハンバーグを食べていた。


「てか、どうして兼任にしたんですかっ」


わたしの顔色を察知したのか、もぐもぐと口を動かしつつ、左の手のひらを掲げた。


「おっと、仕事の話がきたようだけど、まずは食事」


といって、シンちゃんはそのまま食べていたので、わたしも箸を持ち、残っていたハンバーグやおかずを平らげた。


「兼任の話ね。オレから常務に伝えたんだよ」


食器を片付け、食後にシンちゃんは麦茶をいれてくれた。


「新しい仕事で手一杯なのに、今までの仕事を引き継ぐなんてちゃんとできるか不安です」


「でも、ちゃんと初日からできてたじゃないか」


シンちゃんは喉仏を上下に動かし、ごくりとグラスにあった麦茶を飲んだ。


「今までの仕事はできますけど、新しい仕事に集中したいんです」


「ふうん。それだけ?」


シンちゃんがテーブルに頬杖をつき、わたしの顔をまじまじとみる。

まっすぐな瞳でじっとみてくるから、なんだか恥ずかしくなって横を向いた。


「人材確保の観点からも新しい人雇うわけにもいかないし。新しい人、もう雇っちゃったから。ほらここにいるし」


と、シンちゃんは自分を自慢げに指差した。


「若手ならいろいろいるじゃないですか。別にわたしじゃなくても」


「もう決まったものはしかたない。それにオレだって兼任なんだから」


兼任っていったって、シンちゃんとわたしじゃあ、仕事の能率考えたらシンちゃんのほうが上なのに。


口を開こうとしたとき、シンちゃんが右の人差し指の腹を唇につけた。


「『でも』、『だって』なんていうの禁止」


ニコっと何事もなかったように笑いかけるシンちゃんに何も言えないなんて。