計画的俺様上司の機密事項

「さあ、はじめようか」


「よろしくお願いします」


わたしも野上くんも同じタイミングで挨拶した。

シンちゃんはきりっと引き締まった顔つきをした。

「新しいコンテンツだけれど、既存のものを有効活用していくから、そんなに難しいことではない。常に新しく顧客に提供するかが鍵となる」


シンちゃんは横に置かれていたホワイトボードをたぐりよせて、ペンで新コンテンツについて箇条書きをはじめた。

さらさらと書かれているのにきれいな字を書くな、と思った。


「メディアコンテンツ部ということだけれど、インターネットメディア部の派流ととらえてもらってかまわない。ウチのコンテンツを最大級いかし、そこから枝分かれした情報を提供する」


「ウチの情報誌のファッションだったり、雑貨だったり、ご飯屋さんの情報からピックアップしていくってことですね」


野上くんがシンちゃんに質問した。

シンちゃんも野上くんの言葉に納得して頷いていた。


「その通りだ。このサイトから興味を持ってもらい、さらに情報誌への誘導も兼ねて動く。サーキュレーションメディアサイトということで、名称は『シェアキュレ』とする。いいな」


「はい」


わたしと野上くんも同じようにそろって答えた。


「2人だけではさすがに動きづらいので、すでに何人か外部の人にお願いして、記事を書いてもらっている。2人は記事作成とともに、外部スタッフの管理をお願いする。野上にあとで関係書類を渡しておくから目を通しておくように」


「結城部長、わかりました」


「有沢にはまた別の案件の書類を渡す。よろしくな」


「は、はい」


家でみせる顔ではなく、あくまで会社でみせる真面目な顔でわたしに指示した。