計画的俺様上司の機密事項

「どうしたの? 有沢さん、さっきから元気ないみたいだし」


「い、いえ」


「園田部長、有沢に狙ってたぽかったよ」


「うそ、まじ? 大丈夫だった? 有沢さん」


「え、ええ」


さすがに出世できる常套句を聞きましたなんて先輩たちにはいえない。


「園田部長、流通部門へ異動らしいよ」


「この本社から高速のインター近くのビルへ引っ越しかあ。大変だよねえ」


「まあ、かよわき女性社員を敵にまわすと怖いってよくわかったんじゃない」


「これでますます社内恋愛できにくくなる環境になりそうだねえ。まあそんな相手探して仕事してないけどさ」


「今は仕事が楽しい時期だし。ね、有沢」


「あ、はい」


「社内恋愛禁止ってわけじゃないけどね、常に見張られてりゃ暗黙のルールになるわね」


さて、さっぱりしたから、午後も頑張るか、と先輩が口をそろえ、化粧室をあとにする。わたしも後を追った。


園田部長と何もなくてよかった、とほっと胸をなでおろした。