生成りの薄いジャケットに白いボタンダウンシャツ、茶色のスラックスを履いた常務がやってきた。
常務は学生時代のバイト先の社長と知り合いだった。
会社の最終面接では常務にバイト先の社長の話や仕事についてよく聞かれた印象があった。
シンちゃんと同じく背が高く、知的な薄型メガネにロマンスグレーな紳士的なおじさまといった印象だ。
その後ろを歩くのは、一緒に朝でかけたシンちゃんだ。
緊張しているのか、少々顔がこわばっている。
それでもさわやかで男前な表情に、一瞬きゅんとしてしまう自分がいた。
ちらりと横をみると、シンちゃんを初めてみた野上くんの喉仏が一瞬上下に動いた。
わたしたちの机の横にあるカウンターの前に常務とシンちゃんが立つ。
「お待たせしてすまないね。紹介するよ。君たちの上司であり、このメディアコンテンツ部の部長の結城真一くんだ」
「結城です。よろしく」
言葉少なめで、声のトーンは低いけれど、すっと耳に残る。
「結城くんは、東京の大手の広告代理店で活躍していたのだが、縁あってウチの会社に来ることになった。この部だけじゃなくて、会社を大きく盛り立ててくれると信じている。結城くんについていってくれ」
「はい」
わたしも野上くんも声をあげる。
だけど、シンちゃんの表情は何も変わらない。
「結城くん、二人の自己紹介させようか?」
「いいです。仕事ぶりで人となりがわかりますから」
「わかった。あとのことは頼んだよ、結城くん」
「はい、常務」
常務はにこやかな笑みをたたえながら、部屋をあとにした。
常務は学生時代のバイト先の社長と知り合いだった。
会社の最終面接では常務にバイト先の社長の話や仕事についてよく聞かれた印象があった。
シンちゃんと同じく背が高く、知的な薄型メガネにロマンスグレーな紳士的なおじさまといった印象だ。
その後ろを歩くのは、一緒に朝でかけたシンちゃんだ。
緊張しているのか、少々顔がこわばっている。
それでもさわやかで男前な表情に、一瞬きゅんとしてしまう自分がいた。
ちらりと横をみると、シンちゃんを初めてみた野上くんの喉仏が一瞬上下に動いた。
わたしたちの机の横にあるカウンターの前に常務とシンちゃんが立つ。
「お待たせしてすまないね。紹介するよ。君たちの上司であり、このメディアコンテンツ部の部長の結城真一くんだ」
「結城です。よろしく」
言葉少なめで、声のトーンは低いけれど、すっと耳に残る。
「結城くんは、東京の大手の広告代理店で活躍していたのだが、縁あってウチの会社に来ることになった。この部だけじゃなくて、会社を大きく盛り立ててくれると信じている。結城くんについていってくれ」
「はい」
わたしも野上くんも声をあげる。
だけど、シンちゃんの表情は何も変わらない。
「結城くん、二人の自己紹介させようか?」
「いいです。仕事ぶりで人となりがわかりますから」
「わかった。あとのことは頼んだよ、結城くん」
「はい、常務」
常務はにこやかな笑みをたたえながら、部屋をあとにした。

