計画的俺様上司の機密事項

エレベーターはちょうど二人だけだったので助かった。


「ちょ、ちょっと何言ってるんですか」


「仕方ないだろう。そういっておかないと怪しまれてお前が困るだろうが」


「お言葉ですけど、元はと言えばシンちゃんが勝手に……」


「詮索されるのもどうかと思うけど」


そういうと、ニヤリとシンちゃんが笑う。


「はあ!?」


「こういう関係も悪くないよな。先に仕事行くぞ」


1階につき、エントランスにつくと、早足で先にいってしまった。

この先どうなるんだろう、と頭をかかえつつも、会社へ向かう。

シンちゃんの後を追うように歩くのって、なんだか不思議だ。

通勤途中、信号待ちをしているとき、OLやら学生やら、サラリーマンまでもシンちゃんの姿をみている人が大勢いた。

朝から変顔したりと中身はおじさんなんですよ、と人々に問いたいぐらいだ。

でもこの通勤している中でシンちゃんがビシッとスーツを着こなし、颯爽と歩く姿は清々しかった。

背中を追いかけながら、会社へたどり着く。

一階の社員専用通用出入り口から入り、常駐する警備員さんの隣の場所にタイムレコーダーがあるので、わたしのタイムカードを探す。

以前は先輩たちの下に置かれていたのだが、今は結城部長、その下にわたし、そしてその下には野上くんのカードがカード入れに刺さっていた。

自分のカードをとり、タイムレコーダーに差し入れると、


「有沢さん」


後ろから駆け寄る足音が近づいてきた。