計画的俺様上司の機密事項

その足で2階にある靴屋へ向かう。

上品な靴がショーケースにきちんと並び、照明に照らされていて、ついつい見とれてしまう。


「あら、結城さんじゃないの。しばらくねえ」


シンちゃんより歳が上の女性店員は目を輝かせながらシンちゃんをみていた。


「彼女に靴、選んでくれ」


「かしこまりました」


足の採寸をしてもらい、シンプルだけど華美な黒いパンプスを選んでくれた。


「走り回れるOLさんにぴったりなパンプスです。疲れにくいので、これなら仕事でも使えますよ」


「……ありがとうございます」


「それ、履いていくからよろしく」


「かしこまりました。しかし、結城さん、彼女いらっしゃったのね。宝石の原石、みつけたみたいでよろしいんじゃないですか?」


「ん。まあね」


よく行く大型スーパーで売っている履きやすい靴を買っていたので、こういうきらびやかなお店で靴を買ったことがなかった。

値段をもう見る気は失せたけど、別の靴をみて、いい値段がつけられていることに驚きを隠しきれなかった。

この金額だったら、プレミアムの模型が買えるのに、と思ってしまう。

シンちゃんはレジで会計を済ましてくれた。

やっぱり女性の店員さんたちの嫉妬心が体の奥からオーラとして湧き出て、わたしに強く当てている感じが見受けられる。

シンちゃんの彼女じゃないんだけどなあ、と小さくつぶやいていたけれど、誰も聞いてくれないからしかたなく静かにした。