計画的俺様上司の機密事項

「仕事にもプライベートにも使えるなら、この服がいいかな」


といって、奥からどんどん洋服をとりにいっている。

わたしはそれをあっけにとられながら見ていた。


「結城さんの彼女さんだったらもっときれいにならないと、ね」

そういってくれた。

彼女じゃないんだけどなあ、と思いながら、せっせと店長さんが運んできてくれる。


「今から着て帰るんで、それもよろしく」


カモフラ風のガウチョパンツだったり、細身のレギンスパンツ、シンプルなTシャツやジャケットなど次々に出していき、お人形さんのようにとっかえひっかえ洋服を試着室で着せられ、これもいいな、あれも似合うな、とシンちゃんの意見を店員さんが聞きながら商品を決めていった。

最終的には灰色のシフォン風ブラウスに黒色のミモレ丈のプリーツスカートで落ち着いた。

試着室を出たとき、シンちゃんの目がきらきら輝いたように感じた。


「いいんじゃないか」


「ええ。とってもお似合いです」


「あ、ありがとうございます」


「じゃあ、会計を。その服はそのまま着て帰ることにして、さっき進めてくれた服も包んで」


「かしこまりました」


レジに向かい、シンちゃんはポケットから財布を取り出し、店長へカードを差し出した。


「シンちゃん、ちょっと、ここ高いんじゃない?」


「気にするな。オレのおごりだ」


「だって」


「いいから、遠慮すんなって」


さすがにあの値段は給料日過ぎても買えないよ、と思いつつ、ちゃっかりシンちゃんに甘えてしまったわたしだ。

スマートに会計を済ませ、たくさんの紙袋に洋服を詰め込まれる。

それをひょいっと軽々すべて持ってくれた。